はじめに
派遣社員を受け入れる際、どの派遣会社に依頼するかは、自社が求める職種、技能水準、就業場所、受け入れ時期などによって異なります。過去に取引のある会社や知名度の高い会社であっても、今回の依頼に対応できる人材の登録状況や、同種業務の派遣実績があるとは限りません。
派遣会社ごとに、得意とする職種、対応地域、登録人材の職務経験や技能の傾向、担当体制、就業開始後のフォロー内容などは異なります。そのため、会社名や規模だけで判断するのではなく、今回の依頼内容に適しているかを具体的に確認することが重要です。
また、既存の取引関係や知名度だけを理由に依頼先を決めると、人材の提案まで時間を要したり、依頼先が増えすぎて進捗を管理しにくくなったりすることがあります。
本記事では、派遣会社の選び方と、依頼する前に派遣先企業(以下、派遣先)が確認しておきたいポイントについて解説します。
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派遣会社の得意分野・対応エリアを確認する
派遣会社は全国に多数あり、事務職、販売職、製造職など、得意とする職種や業界は会社によって異なります。そのため、派遣会社を選ぶ際は、何を重視して選ぶのかをあらかじめ整理しておく必要があります。
たとえば、製造分野を中心に扱う派遣会社でも、事務職に対応している場合はあります。ただし、実際に依頼する事業所における、依頼職種に対応できる人材の登録状況や直近の派遣実績によっては、人材の提案まで時間を要することがあります。
対応エリアについても同様です。全国に拠点がある派遣会社であっても、事業所ごとに対応できる職種や人材の登録状況、取引実績は異なります。今回依頼する職種・就業場所での派遣実績や、人材を提案できるまでの目安などを確認するとよいでしょう。
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派遣会社の規模と対応体制を確認する
派遣会社の規模は、依頼先を選ぶ際の判断材料の一つですが、規模だけで対応力が決まるわけではありません。実際の対応は、事業所、担当部署、人材の登録状況、依頼する職種や時期などによって異なります。
大手の派遣会社は、拠点数が多く、登録人材の職種・経験も幅広い傾向があります。一方で、実際の連絡速度や提案までの期間、就業開始後のフォロー体制は、担当部署や担当者によって異なることがあります。
中堅・中小の派遣会社や専門特化型の派遣会社は、特定の地域・職種に詳しく、担当者と密に連携しやすい場合があります。ただし、実際に依頼する事業所における、依頼職種に対応できる人材の登録状況や直近の派遣実績によっては、人材の提案まで時間を要することがあります。
会社規模だけではなく、依頼する職種・地域での実績、営業担当者と就業開始後のフォロー担当者の体制、連絡方法、人材を提案できるまでの目安、欠員や交代が生じた場合の対応などを比較するとよいでしょう。
なお、労働者派遣事業は許可制ですが、許可を受けていることだけで、現在の信用力や、自社が求める取引条件・対応水準に合うかまで判断できるわけではありません。必要に応じて、自社の通常の取引審査も行いましょう。
派遣料金と公開情報を確認する
派遣料金には、派遣社員本人に支払われる賃金だけでなく、社会保険料、有給休暇取得時の賃金負担、教育訓練費、募集・採用費、派遣会社の運営費なども含まれます。そのため、派遣料金が高い会社ほど、本人の賃金も同じ程度に高いとは限りません。
派遣元事業主(派遣会社)には、事業所ごとの派遣料金の平均額、派遣労働者の賃金の平均額、マージン率、教育訓練に関する事項など、法令で定められた情報をインターネットで提供する義務があります。派遣会社のウェブサイトや、厚生労働省が運営する人材サービス総合サイトで確認できます。
マージン率については、高い・低いという数値だけで良し悪しを判断するのではなく、教育訓練、社会保険料などの負担、募集・採用活動、就業開始後のフォロー体制なども含めて考える必要があります。
また、同じ派遣料金でも、営業担当者、人材の提案を行う担当者、就業開始後のフォロー担当者をどのように配置しているかによって、対応内容は異なります。人材を提案できるまでの目安、進捗報告の頻度、就業開始後の連絡方法、欠員や交代が生じた場合の対応などを具体的に確認するとよいでしょう。
派遣料金については、単に安い会社を選ぶのではなく、料金、公開情報、提案力、対応体制のバランスから判断することが重要です。
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複数の派遣会社に依頼するタイミングと管理方法
- 派遣会社に依頼内容を伝えたが、人材の提案がない
- 提案はあるが、必須要件や勤務条件を満たしていない
- 就業開始希望日が迫っている
上記のような状況に至った場合は、依頼する派遣会社を増やすことも選択肢の一つです。
派遣会社は、すでに登録している人材や新たに登録した人材の中から、依頼内容に対応できる人材を確認します。そのため、条件に合う人材がいない場合は、すぐに提案できないことがあります。一方、派遣先にも、就業開始希望日や前任者からの引継ぎ期間など、受け入れまでの時間的な制約があります。繁忙期や前任者の退職日が迫っている場合、同じ派遣会社からの提案を待ち続けることで、依頼した目的を果たせなくなる可能性があります。
そのため、派遣会社に依頼する際は、「人材提案の進捗状況を3営業日ごとに共有してほしい」「○日までに提案がない場合は、他社への依頼も検討する」など、確認の時期をあらかじめ決めておくとよいでしょう。加えて、複数社に依頼する場合は、各社に同じ業務内容、必須要件、優先順位、就業開始希望日を共有し、窓口担当者が進捗を一元管理します。人材が確保できた場合は、ほかの派遣会社へも速やかに連絡しましょう。
なお、紹介予定派遣を除き、派遣先が就業開始前の面接や履歴書の提出要請などにより、派遣労働者を特定することを目的とする行為は認められていません。複数の派遣会社に依頼する場合も、提案された個人を比較・選別するのではなく、派遣会社の対応状況、提示条件、契約内容などを確認する形で進めましょう。
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派遣会社を選ぶ際の確認ポイント
派遣会社を選ぶ際に確認すべき主なポイントは次のとおりです。
- 過去に取引がある場合、提案実績や対応状況を振り返ったか
- 労働者派遣事業の許可番号や事業所情報を確認したか
- 依頼する職種・業務、就業エリアの派遣実績を確認したか
- 派遣料金の平均額、派遣労働者の賃金の平均額、マージン率、教育訓練などの公開情報を確認したか
- 営業担当者、人材提案の担当者、就業開始後のフォロー担当者の役割が明確か
- 人材を提案できるまでの目安、進捗状況を共有する頻度、欠員時の対応を確認したか
- 派遣料金と対応体制、契約条件のバランスに納得できるか
- 複数社への依頼状況を、窓口担当者が一元管理できるか
まとめ
派遣会社を選ぶ際は、既存の取引関係や知名度だけで判断せず、依頼する職種・エリアの実績、公開情報、派遣料金、担当体制、人材を提案できるまでの目安、就業開始後のフォロー内容などを確認することが重要です。
複数の派遣会社に依頼する場合は、各社に同じ依頼条件、就業開始希望日、進捗を確認する時期を伝え、窓口担当者が状況を一元管理するとよいでしょう。依頼先を増やすこと自体を目的とせず、自社の受け入れ予定と各社の対応状況を踏まえ、追加依頼の要否を判断することが重要です。
派遣会社の選定基準や、追加依頼の判断基準を自社だけで整理しにくい場合は、派遣先企業の立場から、確認事項、比較するポイント、派遣会社への依頼内容を整理する外部の相談窓口を活用する方法もあります。
執筆:加藤 智広
社会保険労務士/アドバンスト社労士事務所代表
最終更新日:2026年8月1日
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