はじめに
派遣社員の勤怠管理は、派遣会社だけに任せておけばよいものではありません。派遣社員を実際に受け入れ、日々の就業状況を確認しているのは派遣先企業(以下、派遣先)であり、出退勤、休憩、残業、欠勤連絡などの確認や派遣会社への共有が不十分な場合、後から認識の相違やトラブルにつながることがあります。
本記事では、派遣社員の勤怠に関するトラブルを防止するための運用ルールをご紹介します。
派遣社員の勤怠管理でトラブルになりやすい場面
派遣社員の勤怠について、トラブルになりやすい場面は次のとおりです。
- 遅刻や欠勤する場合の連絡先が曖昧な状態にある
- 休憩時間を取得できているかの確認がされていない
- 残業可否を判断する社員が決まっていない
- 派遣契約上の就業時間と実際の就業時間が異なっている
- 勤怠システムへの入力、および承認ルールが定まっていない
- 派遣会社との連携ができていない
ルール① 遅刻・早退・欠勤・有給取得時の連絡方法を決める
派遣社員が遅刻・早退・欠勤・有給休暇を取得する場合の連絡方法は、就業開始前に決めておくことが重要です。
たとえば、派遣社員本人から派遣先へ連絡したうえで派遣会社にも連絡する方法や、派遣会社を通じて派遣先へ連絡する方法などが考えられます。どの方法を採る場合でも、「誰に」「どの順番で」「どの手段で」連絡するのかを、あらかじめ明確にしておく必要があります。
実務上は、当日の就業状況を派遣先が早く把握できるよう、まず派遣先に連絡し、その後に派遣会社へ連絡する流れが分かりやすい場合があります。一方で、派遣会社側でも就業状況を把握する必要があるため、派遣先だけでなく派遣会社への連絡も忘れないようにすることが大切です。
また、派遣先への連絡先も具体的に決めておく必要があります。派遣会社との窓口担当者に連絡するのか、現場責任者に連絡するのか、指揮命令者に連絡するのかが曖昧なままだと、派遣社員が連絡を入れたにもかかわらず、現場に情報が伝わらず混乱が生じることがあります。
特に遅刻の場合は注意が必要です。代表電話を連絡先にしていると、始業時間前は電話がつながらない場合があります。また、通勤途中の電車内や移動中など、電話をかけることが難しい場面も考えられます。
そのため、電話がつながらない場合や電話での連絡が難しい場合に備えて、メール、SMS、チャットツールなど、電話以外の連絡手段も決めておくとよいでしょう。ただし、個人携帯や私用の連絡手段を使う場合は、事前に利用範囲や連絡ルールを確認しておくことが必要です。
状況によっては、派遣社員本人から派遣会社へ連絡し、派遣会社から派遣先へ連絡してもらう運用が適している場合もあります。派遣先としては、自社の業務運用に合った方法を検討し、派遣会社と相談のうえで連絡ルールを決めておくことが大切です。
なお、有給休暇の申請や承認は、基本的には雇用主である派遣会社のルールに従うことになります。ただし、派遣先としても当日の業務への影響や代替対応を確認する必要があるため、有給休暇を取得する場合の連絡方法についても、派遣先・派遣会社・派遣社員本人の間であらかじめ確認しておくとよいでしょう。
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ルール② 残業・休日出勤は事前承認制を取り入れる
派遣社員の勤怠は、派遣会社による給与計算や派遣先への請求にも関係するため、自社の直接雇用の社員と同様に、場合によってはそれ以上に丁寧に扱うことがトラブルの防止につながります。特に残業対応や休日出勤は、業務状況によって突発的に発生することがあるため、運用方法をあらかじめ決めておくことが望ましいといえます。
運用方法については、事前承認制を取り入れることがおすすめです。派遣社員本人が申請する際、「誰に、いつまでに、どのような形で申請をするのか」を決めておくことで、「~さんに確認したからそれでよいと判断した」「後から申請すればよいと思っていた」といった対応を事後になることを防ぐことができます。具体的には、「残業対応を依頼する場合は当日の12時までに相談する」「休日出勤については3日前までに相談する」といった形で取り入れるとよいでしょう。
また、実務上では終業時間の直前に「少しだけ残業してほしい」と打診することがあり得ますが、この場合はあくまで「お願い」という形で打診することが望ましいといえます。そして、「少しだけ残業してほしい」を繰り返すうちに、当初決めた運用方法が形骸化していく可能性があるため、留意するようにしましょう。
なお、派遣社員に残業や休日出勤を依頼するためには、派遣契約や就業条件の中にその旨を明記していること、および派遣会社側の三六協定や運用ルールの範囲内で対応できることが必要です。不慮の事態により残業や休日出勤が発生する見込みが立った場合は、契約に関係する内容のため、いきなり派遣社員本人に相談するのではなく、まず派遣会社に相談するようにしましょう。
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ルール③ 休憩時間の管理を現場任せにし過ぎない
休憩時間の管理は、現場任せにし過ぎないことが大切です。会社によっては休憩時間に入る前にチャイムが鳴る、オフィスの電気が節電状態となり自動的に暗くなる、といった休憩時間を知らせる仕組みが取られている場合がありますが、取られていない場合は、派遣社員が休憩時間を認識、取得しやすいように配慮することが必要です。
派遣社員に関しては、雇用元は派遣会社になるため、休憩時間については就業条件どおりに取得させることが求められます。現場の人数が少ない場合やオフィスで社員が休憩を取りながら仕事をし続けている場合などは、休憩時間を取りにくい、言い出しにくい状況が想定されます。その場合は、派遣先から休憩については時間どおりに取得するよう伝えるとともに、現場以外の社員(派遣会社との窓口担当者や労務担当者)より、派遣社員本人に休憩は取れているかの確認を定期的に取るとよいでしょう。
ルール④ 派遣契約上の就業時間と実態が異なっていないか確認する
契約上は、9時~17時30分の就業時間のはずが、8時45分から朝礼に参加している、17時45分まで毎日勤務しているといった場合は現場に確認が必要です。その時間が朝礼時間、制服に着替えるための時間であった場合、それぞれを就業時間に含めるべきか悩むことがあります。
朝礼に参加することが就業条件として明示されている場合は、業務に該当するため賃金が発生します。着替える時間については、業務に必要な準備行為に該当する場合は労働時間に含める必要があります。
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ルール⑤ 勤怠管理の方法を定める
派遣社員の勤務状況は、紙のタイムシートや派遣会社独自の勤怠システム、e-staffingやe-TimeCardなどの汎用システムが使用して管理することが一般的です。日々の勤怠管理の方法としては、派遣社員は始業時に出勤時間を打刻、終業時に退勤時間を打刻、勤怠承認者は当日中もしくは翌日の午前中に確認するというルールで運用すれば問題ないといえます。
実務上では、終業時に出勤時間も合わせて打刻、1週間分をまとめて週末に打刻、極端な例では月末に1ヶ月分を打刻するというケースも見受けられます。申請内容について違和感や疑問が発生したことのない場合は、「まとめて打刻する形でも問題ない」「楽だからこれでよい」とその方法が許容される場合もありますが、違和感や疑問が生じた場合に、正しい内容かを確認する方法がないため、トラブル防止の観点から避けた方が無難です。
また、就業期間が長くなるほど、派遣社員本人と現場間での信頼関係が生まれる一方で、勤怠管理の運用が曖昧になりやすい側面もあります。期間の長短に限らず、ルールどおりに勤怠管理がトラブル防止につながります。
派遣社員の勤怠管理について設定したい運用ルール
派遣社員の勤怠管理について、設定したい運用ルールは次のとおりです。
- 早退・欠勤・有給取得時の連絡方法を決める
- 残業・休日出勤を事前承認制にする
- 休憩時間の管理を現場任せにし過ぎない
- 派遣契約上の就業時間と実態が異なっていないか確認する
- 勤怠管理の方法を定める
まとめ
派遣社員の勤怠管理については、受け入れ前に運用に関するルールを定めること、派遣社員本人や承認者がルールどおりに対応すること、現場以外の第三者が定期的に運用状況を確認することがポイントです。
また、派遣社員の勤怠は派遣会社による給与計算や派遣先への請求にも関係するため、自社の直接雇用社員と同様に、あるいはより丁寧に確認することが必要です。
派遣社員の勤怠管理や派遣会社との連携に不安がある場合は、現場の運用ルールを整理することにより、トラブルを防ぎやすくなります。
